教育・保育内容
「バランスのとれた保育」
当園の保育の特徴は、「バランスのとれた保育」ということです。
毎日の保育にしましても、クラス担任のその日の気分で、行きあたりばったりにおこなうようなことはありません。
「きょうは、お絵かきでもさせようか。いや、お外で一日あそばせてもいいな」などという気まぐれな保育の様子では、スポンジのような吸収力をもつ幼児期の子どもの成長に、あまりよい結果は期待できません。
なぜなら、一日の食事に必要な栄養バランスがあるように、子どもの知性や心身の発達にもバランスのとれた栄養が必要だからです。
これらの栄養を一つも欠かすことなく、バランスよく毎日の保育にもり込んであげることが、園の役割だと考えます。
もっとも、その日のお天気や、子どもの気分やノリによっては予定どおりにいかないこともありますし、保育者自身勉強も必要です。
しかし、毎日行きあたりばったりに行われる保育にくらべ、前から準備され、よく考えられた保育は、内容が豊かで、とても楽しいものです。また、内容が偏ることがないので、子どもたちのもつさまざまな可能性を引き出し、伸ばしてあげることができます。
「ガラスばりの保育」
園では、こうして考えられたメニューを「保育のめあて」として、毎週金曜日に、次週一週間分の保育内容を、ご両親にお渡ししています。
そうしたガラスばりの保育を行うのは、"幼児教育は、車の両輪のように園と家庭とで互いに理解し合っていくのが大切だ" と考えるからです。
「今日は幼稚園で何をやっているのかしら?」などと家であれこれ思いをめぐらすよりも、「今日は、ぐりとぐらの絵本を読んでもらうのか。じゃあ、きっとホットケーキを食べたくなるだろうから、お買い物に行ってこなくちゃ」などと考えるのは、家に一人残されたお母さまも楽しいことだと思います。
そうしたことで、日々の親子の会話がよりはずんだものになったり、「お母さんは、ぼくのことは何でも知っているんだなあ」と子どもを感心、あるいは安心させることでご家庭での子どもの情操教育に一役かってもらえたらすばらしいと思います。
「あくまで、あそびの中で・・・」
しかし、いかにバランスのとれた保育でも、あくまで"あそび" の中で行われなくては意味がありません。
園では、いかに楽しいあそびを、しかも効果的に子どもたちに提供できるかを考えています。
つまり、子どもの発達段階に合った"あそび" を考えるのです。
たとえば、3歳児にたいしては、おもに「おともだちづくり」を第一に考え、お日様のもと、ダイナミックにあそばせています。とかく一人あそびになりがちな3歳の子どもたちは、開放的な環境の中、お砂遊びなどをとおして自然に友だち関係ができあがっていってしまうのです。
しかも、小さな子のつよい体づくりにもなるので、一挙両得というわけです。
4歳児になると、想像力も3歳児にくらべると、ずっと豊かになってきます。
そこで、表現あそびや空想あそびなどを多く取り入れます。
また、"科学の目" の芽生えにともない、「何だろう? 不思議だな」と思えるような機会をより多く与えていくよう工夫します。
たとえば、夏の"色水あそび" などがその一つです。
大きなビーカーの中に、青や赤や黄色の色水を入れて置き、それを子どもたちが自由に金の杓子ですくって混ぜ合わせ、ジュースやさんごっこなどをして遊ぶのですが、この保育のねらいは、実は混色の変化のおもしろさを子どもたちに体験させることなのです。
そこで、保育者が、赤色と青色を混ぜ合わせて、「ほら、ぶどうジュースのできあがり」とか、赤色と黄色を混ぜ合わせて、「あら、こんどはオレンジジュースになっちゃった」などと言ってあげると、子どもたちは目を丸くして驚いてしまうのです。
この瞬間のために、保育者は前日に何度も実験して色水の濃度を調整し、その日に備えるのです。
5歳児になると、「かず」や「もじ」への興味が急速に高まります。ここでも、子どものそうした欲求に応じて"あそび"を考えます。
そこで、子どもたちは、手作りの大きな池に色どりどりの魚を浮かべ "つり競争" に興じることになります。
先生は、次々に注文を加えていきます。
「赤いお魚、3匹つって」「それと、緑のお魚2匹ね」「・・・あわせて、何匹になった?」
こうした楽しい"あそび" を繰り返していくうちに、いつのまにか子どもたちは、ごく簡単な足し算はできるようになってしまうのですから、不思議です。
これと同じ要領で、ボール紙の黒い帽子をかぶり、首から郵便鞄をさげて、"郵便やさんごっこ"に夢中になっているうちに、実にじょうずなひらがなでお友だちにお手紙を書けるようになってしまう子どもたちは、これまた摩訶不思議としか言いようがありません。
子どもの"あそび" のもつ力を思い知らされるのは、まさにこんな時です。
「絵本の部屋」と「えほんのカルテ」
当園のもうひとつの特色は、絵本教育に力を入れていることです。
「ばんび」「まあや」「ありす」「にるす」「ぴのきお」「ぐりむ」「あんでるせん」「いそっぷ」などのクラス名も、その特色からきています。
園では、絵本の部屋をそなえ、子どもたちにたくさんの絵本にふれてもらう機会をつくっています。
絵本の部屋では、子どもたちはリラックスした状態で先生の表情豊かな読み聞かせを聞いたり、好きな絵本を選んで借りたりします。
絵本を貸し出すのは、ぜひおうちの方に、お子さんが寝る前の5分間、枕もとで絵本を読んであげてほしいという園の切なる願いからです。
寝床でのお母さんのお話は、子どもの情操にとてもよい影響をあたえます。だれもが、そうした子どものころの記憶をずっと大人になっても残していることからも明らかです。
お気に入りの絵本ができると、「お母さん、またあのお話、よんで」と子どもたちはせがみます。
そのうちに、自分でも活字を目で追っていくようになります。
「ねえ、この字、なんて読むの? 」という言葉が出てきたら、しめたものです。文字を教えるのは、それからでもけっして遅くはありません。
また、開園から約40年間、園では子ども一人ひとりに、医師のように"えほんのカルテ" をつけ、その子と絵本との関わりを記録し続けてきました。
"えほんのカルテ"は、日々の読み聞かせから、絵本の貸し出しまで、一冊一冊、個人別に記録します。カルテには、3年保育で約600冊の絵本が記録されます。卒園式に成長の記録としてお渡ししていますが、保護者のみなさんからは、修了証書より嬉しいとの声も多く聞かれます。
「体育教室」と「サッカー教室」
「小遠足」のたのしみ
園では、秋に親子遠足を行いますが、それ以外にも毎月"小遠足"をおこなっています。
それは、幼稚園から一歩外にとび出して、まったく別の角度から子どもたちに保育を楽しんでもらいたいと考えるからです。
目的地は毎月さまざまですが、おもにその季節にあった、安全で、子どもたちがおおいに喜びそうな場所を選んでいます。
たとえば、年長さんですと、7月には七夕にちなんでプラネタリウムを楽しんだあと、そのまま海に寄り道してお弁当を広げたりするのです。
園からは、おせんべいやチョコレート、キャンディーなどのおやつを持参しますので、子どもたちにとってはそれも楽しみのひとつのようです。